私が“みはるや”の料理長になる前は、割烹料理店や、会席料理が売りの高級旅館などで腕を磨き、様々な価格帯の料理を手がけてまいりました。 みはるやでは、海鮮、肉などメイン食材に地元静岡の食材を使っておりますが、良い食材を仕入れるには、八百屋さん、魚屋さん、肉屋さんなど、食材の業者さんとの関係がとても大切です。 例えば今の魚屋さんは、私の前の料理長が就任する前から、20年近くもお付き合いがあります。長年にわたって大切にお付き合いしているからこそ、同じ値段の魚でも、質が高いものを優先的に入れてくれるのです。人としての在り方がそのまま料理に出る、と言われる所以です。

また、旅館にとっての料理は、割烹料理店とは違い、料理の味だけでなく「お客様にお楽しみいただく」ことが何よりも大切です。 料理人としては、お客様にご満足いただくために高価な食材をふんだんに使いたいところですが、そればかりですとご宿泊代も上げざるを得ません。しかしそれはお客様にとって本当に喜ばしいことなのか？社長と熱い議論や喧嘩もしました。悩んだ挙句、私たちはメインとなる料理の見極めと「演出」で勝負することを決めました。 季節のいい食材を使うお料理はそれを豪快に使う。また、それぞれの食材の良さを最大限活かせるよう、技術を駆使する。そして、お客様にとってなによりの調味料は、目の前にいる大切な人の「笑顔」です。笑顔でお料理を楽しんでいただくため、毎日皆で知恵を絞り、料理の演出に力を入れております。

どうぞ“みはるや”のお料理と演出を、大切な方やご家族と、心ゆくまでお楽しみください。